火の章 サルに学ぶ





  3 サルの動きは軽妙

 もう少し順を追って説明していきましょう。

 人間はサルから進化したのです。樹上生活をやめ、地に降り立ったサルが人間に進化したのです。しかし、進化したはずの人間は、頭痛、肩こり、腰痛など多くの病気を抱えています。猿は、肩こりに悩む事はないでしょう。

 それは人間の腕が体重を支えるという仕事から解放され、自由になったからです。進化した大脳の命令どうり指先を一本一本自由自在に動かせるようになった反面、腕は支えるという能力を退化させてしまったのです。

 複雑な動きができるようになった反面、両手と両足を強調させてバランスよく動かす必要がなくなり、それは人体の骨格を狂わせる原因になりました。

 サルも人間のように木切れを拾ったり、バナナをむいたり、器用に両手を扱う事ができます。しかし、サルの動作と人間の動作はどこか違います。

 サルの動作はしなやかで軽妙です。それは、右手と左手が、腕と脚が、常に一体になった動いているからです。歩くときは両手もバランスをとるようにして動かします。

 サルは腕も脚も常に曲がっています。人間は直立したとき、両手も両足も、まっすぐが基本姿勢ですね。直立した人間の姿勢は、確かに知性的ではありますが、しなやかさや動物的な躍動感に欠けます。

 空手で「猿臂(えんぴ)」といえば、肘を曲げた状態で肘や手首を武器にする使用方法のことですが、つまり、サルに学ぶのは、まず、中腰状態でのこの腕の使い方なのです。
 
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